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Webエンジニアのために・・・ SEフトシ君の転ばぬ先の商慣習

トシくんは、IT専門学校を卒業後、中規模SIerにて働くコーディング大好きな若手SE。 プログラミングならなんでもござれ!…と強気な一方で、商慣習とかについてはまったくの門外漢。故に「なんすかそれは」と、失敗なんかもポコポコと。 そんな彼の体験談。はてさて、今回の話やいかに。

営業日は何曜日?「基本的には」と落とし穴。
Webエンジニアの体験談
怖いお客と営業日

 ワタクシSEフトシめが、とある企業さんのバックエンド・システムに関わった時の話です。

「営業日がね、必要なんですよ」

 その日、会議室で同席したお客さんからは、実にシンプルで実にストレートな、そんな要望が出てきました。

「営業日が必要」

 その要求はわかりますが、シンプルすぎて逆にわかりません。営業日…営業日…営業日ってなんだろう。

「あの、営業日…といいますと?」

「営業してる日だよ」

 …そのまんまじゃないですか。

「○×システム部 課長」という名刺を持ったこのお方。年の頃は40前後で、いつも眉間に皺がよってます。なにかにつけてぶっきらぼうな返答で、正直怖い。

 怖いんだけど、聞かないで済ませるわけにもいかないし…。

「え、えっと、それでは平日がわかるようにすればいいのですよね?」

「まあ基本的にはそういうこったろう」

『あ、良かった、当たりだった』

 思わずほっと胸をなで下ろす僕。そしてこの日の打ち合わせは無事終わり、僕は平和な気持ちで家路についたのです。

 この後に待つ落とし穴には、まるで気付くことなしに…。

だから「基本的には」と言ったじゃん!?
 

無事に見積もりが承認されて、設計も終了、製造工程にフェーズが移ってしばらくが過ぎた頃のことでした。

 

プルル、プルルルル。例のお客さんから僕のもとへと、一本の電話がかかってきたのです。

「あれ、基本的には平日が営業日で出てくるのはわかるんだけど、会社の創立記念日とか夏季休暇なんかは、どうやって判定してんですかね?」

 

は?

 

僕のお目々は点になりました。

「いえ、基本的には平日が営業日とのことでしたので…」

「だから基本的には平日だろ?その他はどうするんだって聞いてんだけど」

 ダラダラダラダラと流れ出る汗。

 

基本的には平日が営業日だと。"基本的には"なんだから、基本的じゃないのがあるのは当たり前だと。で、基本的じゃないものには、創立記念日とか夏季休暇とか年末年始の休みがあるぞと、そういった休みが会社にあるのはこれまた当たり前のことだろうよと。

 

…どうしましょう、これ。

 

けっきょく、休日を保持するテーブルを新設することになり、休暇問い合わせ&判定モジュールと営業日換算で日付を割り出す機能なんかも追加。もちろん「当たり前の話だろ」と予算については追加ナッシング。

 

危うく、休日保持テーブルメンテナンス機能まで作らなきゃいけないとこでしたが…、それは勘弁願いました。

 

この件を通して学んだことは2つ。

 

怖かろうとなんだろうと、ヒアリングは細かくしつこく粘っちく…しとかないと後が大変になりますねってことと、営業日って単純にカレンダー通りで決まったりはしなくて、実はけっこうしっかり管理しなきゃいけないもんなんだなぁってこと。

 

ちなみにこの仕事を終えた時、僕の体重は4kg減ってました。これが僕に与えられた、ささやかな報酬でした。

 

もっとも、3日で戻りましたけど。

営業日って、そもそも何に使われる?

考えてみれば営業日って、会計に限らずスケジュール管理とかのグループウェア的機能でも必要そうですね。けっこうコアとして必要なのかも。

会計の方でいえば、メインは勤怠管理。あとは支払いとか営業日数の判定とかかな。

支払いってどういうことですか?

たとえば「月末払い」の会社だったとして、そこが営業日じゃなかった時に、じゃあ前後いずれで処理するか…ってな感じ。

なるほど。んじゃ営業日数は?

そっちは色々あるよ。おっきなとこでは売上予測。たとえば月の営業日を20日計算でしてたとするでしょ。

はいな。

でも、祝日が2日ある月だったとしたら、それで1割営業日数が違ってきちゃうわけ。

はい。

そしたら売上は、普通に考えたら1割下がるよね。

あー!なるほど!

あと給与処理の方では、月頭に営業日数がどれだけあるかで処理に割ける時間も変わってくるから、月ごとに忙しさが違ったりとか。

ふむふむ。

他にも、「○営業日後に支払う」とか「○営業日後に発送」みたいな表現はいっぱいあるよね。

ほうほう、勉強になるなぁ。

って、アンタ本当に今回は合いの手うってるだけだね。

す、すみません。

営業日についての解説
きたみりゅうじ

作家・きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。本業のかたわらWeb上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
URL:http://www.kitajirushi.jp/
※大好評 Webエンジニア武勇伝にも掲載!第10回 きたみりゅうじ氏

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