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Webエンジニアのために・・・ SEフトシ君の転ばぬ先の商慣習

トシくんは、IT専門学校を卒業後、中規模SIerにて働くコーディング大好きな若手SE。 プログラミングならなんでもござれ!…と強気な一方で、商慣習とかについてはまったくの門外漢。故に「なんすかそれは」と、失敗なんかもポコポコと。 そんな彼の体験談。はてさて、今回の話やいかに。

売上日と出荷日は同じか否か?商売という行為の意味を聞く。
Webエンジニアの体験談
売上日を確認する姿が疑問の口火

 それはワタクシSEフトシめが若かりし頃。っつーかほぼ新人時代くらいの時についたプロジェクトであります。

 内容は、とある通販業者さんの通信販売システム構築でした。WEB通販のはしりみたいな頃でねぇ、「おおお最先端、さすが社会人で手がけるシステムはひと味違うぜ」などと鼻息も荒くなり、よしがんばろうなんて力んだりしたもんです。

 作り上げたシステムが、誰もが目につくところで稼働する喜びってのは、やはり当時のボクには格別なものがあったんです。

 さて、そのシステム。打ち合わせの主役は当然先パイで、ほぼ未経験者のボクはオマケ的な位置づけで同席させてもらってました。

 席上飛び交う言葉は、ボクにとってチンプンカンプンなものばかり。作り的な話でなら「ああ、あれ使うのか」みたいにピンとくることもあるんですが、商慣習や業務フロー的な用語なんて、ボクのつるりん光り輝く脳細胞には、まだ1ビットたりとも記載されてはおりません。

 と、その席上で先パイがこんなことを言いました。「売上日は出荷日でよろしいですよね?」

 お客さんは「ハイ」とひと言。

 『なんでそんな当たり前のこと聞くんだろ』
正直この先パイ頭悪いなと…思っちゃったなんてことはないですよ。それはないです。言い過ぎです。ゲフンゲフン。

素朴な疑問が肉となり

 さてとその帰り道。当然の流れとして、ボクは先ほどの疑問を先パイにぶつけました。
「売上日と出荷日って、なんか意味が違うんですか?」

 ポカンと口を開ける先パイ。
「えっと、あのな。『売上をたてる』って行為と『出荷をする』って行為は、それぞれ別の意味を持ってるんだよ」

 ふむ、違うんだ。でも、どう違うんだろ。
「でもまぁ、だいたいひとつの処理としてやっちゃうことが多いんだけどな。だからさっきみたいに、一応確認をしておくんだよ」

「ちなみにな、『受注』って行為と『売上』って行為も別物なんだよ」

 え、それも違うの?でも、どう違うんだろ。

 当然、質問が質問を呼ぶことになり、先パイとの会話は果てることなく続くことになりました。

 この帰り道は、自分にとって「商売という行為に対して目からウロコが落ちた瞬間」だったと思います。

 自分の中では、「物を売り渡すかわりに、お金を受け取る」というシンプルな形だった商売。実際にこれが業務となると、色んな段取りに分かれてる。ほへぇと感心したその思いが、その後流通関係のシステムを手がける際、生きていくことになったのは言うまでもありません。

出荷したら売上がたつって、至極当然のことに思えるんですが。違うの?

うん、まぁ厳密には。

だって自分の手元から消えてんだから、売上にさせてくんないと困るじゃないですか。

えっとね、基本的に「売上」というのは、「所有権が移転した」ことで債権を生じさせる行為なのよ。だから「売上日」ってのは「所有権が移転した日」の意味なわけ。

はあ。

一方「出荷」というのは、単に「物を発送した」だけの意味しかなくてね。「出荷日」というのは「品物を発送した日」以上の意味はないのよ。

そんじゃあ「出荷日」の後、どうなったら「売上日」になるんですか?

通常は検収をもらった段階。そこで、「間違いなく品物を受け取りました」となって債権が発生してめでたく「売上がたつ」となり、すなわち「売上日」となる。

ほっほー。そういや開発してる時は検収って行為がありましたけども。

でしょ。

でも、検収してもらえる取引ばっかじゃないですよね。

今回はハテナマークが多いねどうも。そう、検収がある取引ばっかじゃない。だから「売上日は出荷日でよろしいですね」と、今回のケースみたいに確認することになるのよ。

はて。

いや、だから。通販で鉛筆一本売ったとしてさ、それを受け取ったお客さんが「間違いなく正しい鉛筆でした」とか報告してはくれないでしょ。「納品した日」という基準にするケースもあるけど、それはそれで「いつ届いたか」確認する術がいるし…。

あ、だから「出荷日ベースで売上に」ってなるわけだ。

そう、その通り。

んじゃ、「受注する」と「売り上げる」はどう違うんですか?

「受注」は、だって注文受け付けただけに過ぎないから、出荷日よりも納品日よりも前なのが当たり前で、そりゃ「売り上げた」とはならないでしょ。

そっか、言われてみればそうですね。

ちなみにソフトウェア開発とか建築みたいに、作業期間が長期にわたる場合は、「分割検収」といって途中途中で検収をはさんでいくのが一般的だったりします。

そうしてもらえんと、入金がなくて干上がっちゃいますもんね。

商慣習についての解説
きたみりゅうじ

作家・きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。本業のかたわらWeb上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
URL:http://www.kitajirushi.jp/
※大好評 Webエンジニア武勇伝にも掲載!第10回 きたみりゅうじ氏

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