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トシくんは、IT専門学校を卒業後、中規模SIerにて働くコーディング大好きな若手SE。 プログラミングならなんでもござれ!…と強気な一方で、商慣習とかについてはまったくの門外漢。故に「なんすかそれは」と、失敗なんかもポコポコと。 そんな彼の体験談。はてさて、今回の話やいかに。

 とあるシステム会社さんを顧客として、そこの販売管理システムを手がけることになりました。プロジェクトの規模は10人弱で、期間は約1年。それなりに大きな規模のシステムです。


 そのシステムにはですね、契約管理機能というのがありました。

 見積書→注文書→注文請書→納品書→検収書→請求書…という、仕事を遂行する上で必要な書類たち。この書類データを管理するとともに、適宜必要な書類を自動生成してくれる…というのがこの機能のミソになります。

 ちゃんと仕事が進んだ分の入力をしてくれれば、次に必要となる書類を「はいどうぞ」とはき出してくれるわけですね。

 うん、便利便利。便利なんですよこれ。

 さて、そんな便利なこの機能には、お客さんからひとつ注文がついていました。それは、「注文請書に関しては印紙を貼るので、それ用のスペースを作っておいて」というもの。言われてみればなるほどという内容です。

 そんなわけで、私は特に何の疑問も抱くことなく素直にそのまま実装して、仮納品の日を迎えることになったのでした。

ひと通り完成したシステムの仮納品が終わり、待っていたのはお客さん環境でのユーザテストでした。ここからは納品したプロトタイプを用いて、「ちゃんと問題なくできてるかなー」と、本番導入前に確認を済ませてもらうのです。

 


そしたらですね。


「あれ?これ全部印紙貼るようになってない?これじゃお客さんが勘違いしちゃうでしょ、困るな〜」

…なんてことを、件の担当者さんが言うわけですよ。

いやちょっと待って、だって「貼るから」って言ったやんと。

 


「い、印紙って貼らないこともあるっていうことですか?」

 その問いに対する担当者さんの答えはYes。どうやらいくら以上の取引になると、注文請書に印紙が必要になってくるという切り分けがあるらしく…。

「そんなん説明されなきゃわかるかいやー!!」

修正完了までの徹夜徹夜の日々の中、私の叫びは、ただただ夜のビル群に吸い込まれていくのでした。

そうそう、昔から不思議だったんですけど、そもそも「印紙」ってなんで必要なんですか?

いや、税金ですやんこれは。注文請書などの契約書にかかってくる、印紙税という立派な国税なんですよ。?

ああ、そだそだ。貼っとかないと脱税行為になると聞いたことありましたよ。でもね、もしそもそも注文請書とか、そういう書類を交わさずに仕事してたらどうなるんですか?

そんときは必要ないですわ。これはあくまでも、契約書に対してかかる税なので。

やっぱりそうなるのか。印紙貼ることで国がお墨付き与えました〜みたいな類なんですかね。なんかバカバカしいんですよねこれ。取引に関しては消費税って名目ですでに税金取ってんじゃんかって思っちゃう。

そう言われてもねぇ。って、どんどん脱線してる気がするんだけど、いいんですか?

いや、よくないです。でもなんの話してましたっけ?

あ、アホ……ま、いいや。えっと、印紙税は国税。それがここまでの話。注文請書の他に、領収書なんかでも貼らなきゃいけないものですね。

そっかそっか。そーいう話でした。でも本文を読むかぎり、必ず貼らなきゃいけないわけでもない…と?

えっとね、注文請書だと1万円以上、領収書だと3万円以上から必要になるんです。それ未満の場合は非課税になるので、貼る必要はありません。

なるほど、そこで処理を切り分けなきゃいけなかったわけですね。。

そーいうことになりますかね。

作家・きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。本業のかたわらWeb上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
URL:http://www.kitajirushi.jp/
※大好評 Webエンジニア武勇伝にも掲載!第10回 きたみりゅうじ氏

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