「ウチはシステム開発会社なのに、社内のインフラがあまりに弱い」 営業部、業務管理部、果ては経理部に至るまで、各方面からそんな声が出てきたもんで、「んじゃいっちょインフラ整備に乗り出しますか」ということになりました。
とはいえ、メイン業務が止められるわけじゃないので、なるべく1個1個の案件を細分化して、たくさんの人に振り分けられるようにして、ついでに若手の教育も兼ねるかってことになって、「やたらたくさんプロジェクトリーダがいる、社内インフラ構築ミッションチーム」なるものが開発部内に発足となったのです。
もう、みんなして兼任状態。でも、若い子にもなるべくリーダ役がまわるように切り分けたのもあって、不思議と悲壮感のないお祭りイベントのような様相を呈しています。
そんな中、私に回ってきたのは「債権・債務管理システム」というものでした。要はウチが受注した際に生じる債権とか、発注時の債務なんかを管理するシステムってわけですね。あ、債権ってのは別に借金とかそういうのでなくて、「買ったけどまだ支払いは済ませてない」とか、「納品したけどまだ支払いを受けてない」とか、そーいう未払い金の扱いのことですよ。
さて、そんなわけで仕様を策定すべく、営業部、業務管理部、経理部の方々からヒアリングを行いまして、コツコツまとめて設計書をこさえたんです。
それでですね、「設計が固まったんでレビューお願いします」と皆さんに声をかけて集まってもらった席でのことでした。突然営業さんが
「なんだよコレ」
とつぶやいたかと思ったらバサリと設計書を机の上に広げまして、
「入金のところだけど、これ、消し込み処理について何も考えられていないじゃないか!!」
と、そりゃもうすごい勢いで指摘してきたのです。
消し込み処理…私も知らないですこれ。フトシくん曰く「A社から1万円のものを購入、代金入金時には振込手数料をA社が負担するので、たとえば振込手数料が千円なら差額の9千円を支払う。9千円と千円は会計上別なので、この差額を調整する処理ができないといけない。これが消し込み処理」と教わったいうことらしいんですが。