ホーム > Webエンジニア武勇伝
  

サービス&ソリューション

祝!第30回! 倉貫義人 氏(kuranuki) |TIS株式会社 このエントリーを含むはてなブックマーク
川井:Rubyとの出会いはいつ頃だったんですか?
倉貫:Webエンジニア武勇伝 倉貫義人氏Ruby自体は、昔からプロジェクト管理ツールを作るときにいろいろ探して見つけてはいたんですけど、現場ではなかなか採用できるものではなかったし、社内でそこまでの権力はまだなかったですね。なので、Rubyというものがあるという認識だけでしたね。
川井:なるほど。
倉貫:今、私がいる「基盤技術センター」は5年前に新設されたんですけど、それまでTISには開発上のフレームワークを作ったり、開発の標準を決めるみたいな生産技術っていう部署はあったんですけど、割と尖った技術を扱って社内に広めるという技術専門の部署がなかったので、じゃあ作ろうという話になったときに、立ち上げメンバーとして呼んでいただいたんです。
川井:研究開発的な組織ということですか?
倉貫:研究開発とまでいかないんですけど、新しいITの技術を取り入れて、現場の支援をしながら実績をつくって広めていきましょうというのがミッションでした。当時はそこには割と重鎮というか、10数歳も上の人ばかりが集まっている中に若者1人入れてもらえて、そこはもともとそういうミッションの部署だったので、それこそXPだとかJavaの先進的技術だとかを調査しつつ、現場の仕事をするということをしていました。
川井:なるほど。
倉貫:それから対外的にも動きやすくなって、最初の記事は現場にいるときに書いたんですけど、それ以降の記事は、基盤技術センターとしてTISの技術力をアピールすることも踏まえて書いたりしていますね。いろいろなコミュニティ活動にも参加させてもらって、XPユーザー会の会長にさせてもらったのもその頃ですね。
川井:そういう状況だったんですね。中でも外でも順調ですね。
倉貫:エンジニアってストイックな人が多いので、仕事以外で頑張るときには会社のことは一旦忘れるとか、会社には外の活動は持ち込まないって人が多いですけど、私は双方を利用して、要領よくやる主義ですね。
川井:なるほど、結構ポイントですよね。その後、どういった技術に取り組んだんですか?
倉貫:最近は、XPじゃなくてアジャイルっていうキーワードがありますが、社内ではアジャイルのエバンジェリストということで、アジャイルの技術に取り組んでいます。特に最初の頃に注力したのはTDD(Test-Driven Development:テスト駆動開発)ですね。Javaでテスト駆動開発っていうのをアジャイルの一環で取り組んで、いくつかのプロジェクトで試すうちにテスト駆動開発を本格化するというのがミッションでした。
川井:なるほど。
倉貫:あとは現場のプロジェクトで使えるということで、CVS(Concurrent Versions System)から移行したSubversionであるとか、Javaでいうと日本だとSeaser2が有名なんですが、アメリカで出たSpringに取り組んでいました。Springは私がというより、私のメンバーが担当していて、そのメンバーがSpringの本を出したりしていましたね。
川井:この頃はメンバーをどれくらいもっていたんですか?
倉貫:異動したくらいからちょっとずつ偉くなってきて、部下を持つようになってきたんですけど、私は自分自身で技術もやるんですが、マネジメントも上手くできるということが分かってきて、最初は10人くらい見ていました。人数が増えればそれだけいろんなことができて、それを社内で試して実績をあげて、本にしてといういいサイクルができていましたね。
川井:今回のSKIPは最近の取り組みなんですか?それとも大分前からのものなんですか?
倉貫:ちょうどそこから繋がるんですけど、3年前くらいに、当時、TISの全社あげての巨大プロジェクトがあって、いろんなところから人を集めていくんですけど、とりわけ私の部署はコストセンターなんで、より多く人を出さなければいけなかったんですよ。メンバーも即戦力になる人が多くて、倉貫のチームを解体したいと言われたんです。
川井:そんなことがあったんですか。
倉貫:それで、2005年の8月くらいに一生懸命育てたチームを解散して一家離散という状況になりました。まあ、会社人ってこういうものかって感じなんですけどね。それで私の元には2年目のメンバーが1人だけ残ったんですが、2人チームなのでマネジメントという感じでもなくて、もともとのミッションに立ち帰って、課題となっていたナレッジマネジメントに取り組もうということになったんです。
川井:なるほど。
倉貫:Webエンジニア武勇伝 倉貫義人氏それまでも何度か、社内のWebサイトとかを作っていたんですけど、上手くいかなくて、せっかく2人になったんだし、それまでとは違うやり方でナレッジマネジメントをやっていこうっていうことにしたんです。当時、解散させられて私も本当にショックを受けていて、もう転職もやむなしとまで思っていたので、いろんな会社や海外などの情報に触れていたんですけど、WEB2.0が流行り始めていて、アメリカのGoogleとか日本だと、はてなやmixiとか勢いのあるWebの会社で仕事したいなっていう思いもあったんですけど、Web2.0っていうとCGMとかブログとかが使われていて、社内にマネジメントにブログとかを取り入れたらいいんじゃないかって思ったんです。もう解散して2人しかいなくなっていて、TIS全体の情報発信をするのは無理たったんですね。なので、我々はプラットフォームだけを提供して、コンテンツはみんなに入れてもらえばいいんじゃないかって思ったんです。
川井:なるほど。大学の時のゲームと一緒の発想ですね。
倉貫:そうです。その頃まったく同じ考えでプラットフォームだけ提供しようと思って、プラットフォームは何がいいかなっていうので、SNSを作ろうってことになったんです。それまでは10人くらいのメンバーを持ってプログラミングを一切せずに金計算のすごく得意な人間になっていた時期もあったんですけど、もうマネジメントしなくていいんで、初心に帰ってプログラミングをやろうかなと思ったんです。
川井:そんな状況だったんですね。
倉貫:それで、SNSを作るのにJavaでやると、私よりもメンバーの方がJavaは得意になっていて、それに追いついて追い越すのは30歳すぎた人間にとってはきついなって思ったんです(笑)なので、誰もやっていない領域でやったら若者にも負けないんじゃないかと思って目をつけたのがRubyだったんです。また当時、Ruby on Railsがアメリカでブレイクしていて、まだVer1.0しか出ていない時期で、これならまだ誰もやっていないので、偉そうにできるんじゃないかなと思って、Javaのマネージャーから角谷さんの本みたいにRubyのプログラマーに変身して、2年目の若者と2人で英語と格闘しながらRubyでSNSを作っていったんです。
川井:そういう背景があったんですね。
倉貫:そうなんです。
川井:これって、PythonじゃなくてRubyだったのは訳があったんですか?
倉貫:そうですね。Ruby on Railsが衝撃的だったんですよね。Ruby on Railsってフレームワークがしっかりしているんですぐ動くんですよね。それはプログラムからしばらく離れていた人間にとってはとても楽しくて、これだなと思ったのが大きいですね。
川井:なるほど。ちなみにRubyについては今後どうなると見ていますか? Ruby会議ではJavaの初期の頃よりも盛り上がっているという風に言われていましたけど。
倉貫:Webエンジニア武勇伝 倉貫義人氏RubyはJavaと同じポジションをとると上手くいかないと思っていて、そこについては結構悲観的なんですよ。私はJavaのマネージャーもRubyのマネージャーも両方知っているんですけど、Javaと同じやり方で、XPでもなくウォーターフォール的な開発の仕方をして実装移行はオフショアにするかパートナーに出すかしても、出した部分だけをRubyに変えても生産性は上がらないんですよ。なので、今までの仕事のやり方を変えずに言語だけ変えても生産性が上がらないので、Rubyに対してのネガティブな意見が出てしまうだけだと思うんです。Rubyは柔軟な言語でJavaほどしっかりしていないので、そんなところに無理にRubyを使う必要がないんじゃないかなって思いますね。
川井:なるほど。どういう部分に使っていくといいんでしょうか。
倉貫:逆にアジャイルだとか、ちょっとずつ仮説を立てて、設計をして実装して、お客さんと確認しながらフィードバックを受けて設計し直してというものにはRubyはすごくマッチしていると思うんです。なので、アジャイルなプロジェクトでないとRubyの真価は発揮できないんじゃないかと思うんです。私がRubyに貢献できるとするとアジャイルを広めて、ビジネスモデルを変えていくという形になるんじゃないかなと思いますね。
川井:なるほど。これは面白いですね。セミナーでじっくりお聞きしたいですね(笑)
倉貫:是非(笑)

川井:これからチャレンジしたいことってありますか?
倉貫:Webエンジニア武勇伝 倉貫義人氏Webエンジニア武勇伝で申し訳ないんですが、私、将来なりたいのが料理屋のオーナーシェフみたいな仕事をしたいんです。というのはプログラミングと経営の両方ができるようになりたいんです。オーナーシェフって料理をして、料理長なんだけど自分の店を経営してるじゃないですか。別に巨大レストランチェーンの経営者じゃなくていいんですけど、経営とプログラムが両方できるようになりたいですね。なので、今は会社で新しい事業を政治力を駆使してやっていますね。
川井:新規事業は勉強になりますよね。ちなみにそういう経営とプログラミングを両方できる経営者って誰が一番イメージに近いですか?
倉貫:お会いしていないですけど、はてなの近藤さんとかですかね。自分でサービスを作って、かつ社長もされていますよね。
川井:ウノウの山田さんとかもそうですよね。でも日本じゃ少ないですよね。もともとはほりえもんだったんですけどね(笑)
倉貫:そうですね(笑)

川井:最後に若手のエンジニアにアドバイスをいただけませんでしょうか。
倉貫:Webエンジニア武勇伝 倉貫義人氏そうですね。私も若い頃はそうだったんですけど、とかく若手のエンジニアって自分の技術とかやりたいことに対しては、真摯というかストイックなんですけど、それを実際に導入するときに、例えば上司とか、お客さんとかコミュニティに提案するときに、自分はこんなことをやりたんだって熱く語れる人間はたくさんいるんですけど、それだけでは難しくて、お客さんとか上司とかに分かる言葉で説明してあげたり、相手がメリットを感じる説明の仕方を技術者はもっと勉強すべきだなって思いますね。別に経営をやるとかマネジメントをやる必要はないんですけど、経営者に分かる言葉にトランスレイトしてあげるとか、マネージャーの視点で良さを語れるようなスキルを身につけるべきだなって思いますね。これってマーケティングだと思うんですよね。マーケティングって相手の気持ちになることが重要ですよね。
川井:確かにすごく重要なポイントだと思います。
倉貫:逆にそういうスキルを身につけていくと、自分のやりたいことがどんどんできるようになってくるんですよ。そこが私が自分のやりたいことをどんどん採用できるようになった要因なんですよ。
川井:ここまではっきり説明いただくといいですね。いつもざっくりとコミュニケーションって言ってしまうんですが、そうじゃなくて自分のやりたいことを実現するための手段とかスキルってことですよね。
倉貫:XPをやりたいってだけだと、上司からすれば、それはお前がやりたいだけだろってことになっちゃうんですけど、上司にとってこういうメリットがあるとかお客さんにとってこういう風にリスクが減りますよとかいう説明ができれば相手も納得しやすいですよね。そのために別の業界のいろんな言葉も知る必要がありますけど、身につけてもらえると、やりたいことができるようになりますよ。
川井:この辺も詳しいテクニックはセミナーでお聞きできそうですね(笑)
倉貫:まあ、そんなテクニックないですけどね(笑)
川井:これは大企業にいたからこそ身についたスキルかもしれませんね。
倉貫:確かにそうですね。
川井:大変、参考になる話をお聞きできました。本日は本当にありがとうございました。
倉貫:こちらこそ、ありがとうございました。
Webエンジニア武勇伝 倉貫義人氏



TIS株式会社
会社社名 TIS株式会社 (TIS Inc.)
http://www.tis.co.jp/
設立 昭和46年(1971年)4月28日
代表取締役 藤宮宏章
資本金 231億1,056万円(平成20年3月31日現在)
所在地

【東京】
〒105-8624
東京都港区海岸1丁目14番5号(TIS竹芝ビル)

【大阪】
〒564-0051
大阪府吹田市豊津町9番1号(パシフィックマークス江坂 (旧:江坂東洋ビル))

従業員 2,757名(平成20年3月31日現在)
取引銀行 三菱東京UFJ銀行 三菱UFJ信託銀行


次に紹介したのは→ ※現在オファー中!!乞うご期待!!
これを読んだあなたに
オススメの会社は→

株式会社ガイアックス



ページ上部へ戻る
↓協賛中!!
Mashup Award 4th
ホーム