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第34回 橋本健太 氏 |クックパッド株式会社 最高技術責任者 このエントリーを含むはてなブックマーク
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Webエンジニア武勇伝 第34回  クックパッド株式会社|橋本健太氏

今回は、絶好調のクックパッドの技術陣を率いる最高技術責任者、橋本健太さんにお話を伺いました。橋本さんは、その落ち着いた物腰から想像した通り、SFCの研究室出身です。SFCでの佐野社長との出会いや研究者から民間企業に転じたいきさつ、そしてサイトの「Ruby on Rails」による全面リニューアルの舞台裏などを余すところなく語っていただきました。引っ越ししたばかりのクックパッド社の白金台のオフィスには、大きなキッチンが広がっています。キッチンを通り抜けた会議室で1時間ほどお話を伺いました。


橋本健太 氏

  • ◆クックパッド株式会社の最高技術責任者。
  • ◆慶応義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。
  • ◆同博士課程在籍中に、研究員として、細胞のコンピュータシュミレーションの研究を行う。
  • ◆2004年、クックパッド株式会社の前身である有限会社コインへ入社、ユーザー向け有料サービス立ち上げに従事。
  • ◆2006年にはサイト全体のリニューアルを成功させ、最高技術責任者に就任。
  • ◆2008年7月、クックパッドをRuby on Rails に全面リニューアル。(当時Ruby on Rails製で日本最大、世界6位の大規模サイトに)現職に至る。
クックパッドセミナー
パソコンとの出会いは?
川井: よろしくお願いいたします。
橋本: よろしくお願いします。
川井: 橋本さんは今何歳でいらっしゃいますか?
橋本: 33歳です。来月34歳になります。
川井: そうなんですね。パソコンとはいつ頃出会ったんですか?
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏プログラミング自体は大学に入ってからなんですけれども、小学生くらいの時に「ファミコンが欲しい」と父親に言ったらMSXを買ってきてくれたのが初めです。これでもうゲームもできるし、と思ってたんですけど、実際には雑誌とかに載っているプログラムをわけもわからないまま打ち込んで、ゲームをやって、また打ち込んで、みたいな感じでした。
川井: なるほど。やはり他の方とほぼ一緒ですね。
橋本: そうですか(笑)
川井: ゲームからという方は本当に多いですね。どんなゲームだったかは覚えていらっしゃいますか?
橋本: 特集で「一画面ゲーム」みたいなものがあったんですよ。短いプログラムを打ち込むと、一画面でゲームができます、というようなものです。あまり打てもしないので、それで対戦ゲームだったりスポーツのゲームだったり、ただ障害物を避けるだけのゲームとかをやるだけでもけっこう楽しかったですね。
川井: もともと機械が好きだったりしたんですか?
橋本: いや、そうでもないです。けっこう手も不器用で、わけがわからないままただ打ち込んでたくらいの感じですね。
川井: なるほど。じゃあ雑誌を定期的に買って本格的にプログラミングというところまではされてないんですか?
橋本: ないですね。
川井: じゃあ本当にゲームの興味で触っていたんですね。
橋本: そうですね。
川井: 他には運動とかされてたんですか?
橋本: 当時はサッカー部に入っていてサッカーをやっていました。
川井: じゃあどちらかというと、サッカー少年がたまたまゲームもやっていたという感覚ですか?
橋本: まあ、ゲームの方もかなり好きでしたね(笑)
川井: (笑)そうですか。それは、中学に行くと他のものに変わったりしたんですか?
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏中学もずっとサッカーをやっていましたね。ゲームはRPGをやるようになったりとか、テーブルトークRPGをやるようになったりとかしました。なかなかコンピュータに結びついていかないですね(笑)
川井: でも志向的にはロジカル的なものというか、シミュレーションとかのゲームですよね。シューティングゲームとかよりはそっちのほうが好きだったんですか?
橋本: そういうわけでもなく、シミュレーションよりはRPGとか、アクションだとかですね(笑)
川井: 今でもゲームはされるんですか?
橋本: やりますね。wiiとか。
川井: パソコンゲームとか、オンラインゲームとかはされないんですか?
橋本: それはやらないですね。
川井: そうなんですか。高校に行ってからは何か変化はありました?
橋本: ゲームの話ばっかりになっちゃうんですけど(笑)
川井: いいですよ(笑)
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏高校生になるとゲームセンターで「ストリートファイター2」というのが流行っていて、それまでゲームセンターってあんまりおもしろくないなという印象だったんですけど、    格闘ゲームで知らない人同士が向かい合って対戦するというのが面白くてはまりました。もうしょっちゅう、塾に行くふりをして行ったりしてました。
川井: 毎日ですか(笑)
橋本: そうですね、ほぼ毎日ですね(笑)
川井: あのゲームって、ボタンをいっぺんに押したりとか複雑な操作があると思うんですけど、そういうのも覚えたんですか?
橋本: そうですね、大体覚えました(笑)
川井: すごいですね。高校の仲間と行ってたんですか?
橋本: そうですね。仲間と行って、でも対戦するのは知らない人となんですよ。なので「あ、また来たな」みたいなやりとりが楽しかったりしました。
川井: そうなんですね(笑)ご出身はどちらなんですか?
橋本: 出身は神奈川です。生まれは札幌なんですけど、すぐに神奈川の大和市に移ってきました。そうとう田舎で、小学校までは川沿いのあぜ道を20分くらいかけて歩いて通ってました。ちょっと変わった小学校で、勤労生産学習といって、授業に農作業があるんですよ。それがまたすごい楽しかったですね。
川井: けっこう体を動かすことも好きなんですね。
橋本: 好きですね。
川井: じゃあその頃はまだコンピュータを職業にしようなんてことは考えなかったですか?
橋本: 全くありませんでしたね。
川井: 何になりたかったとかありますか?
橋本: ベタに宇宙飛行士とか、よく聞くものをそのまま言ってる感じでした(笑)
川井: じゃあ大学も、コンピュータという観点では選んでいないんですか?
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏そうですね。でもなんとなくコンピュータとかゲームとかをしている中で、コンピュータはすごいというのは感覚として身にしみていたんですよ。大学はSFCなんですが、    どちらかというとコンピュータよりも環境のほうが気になって選びました。僕が高校生とか中学生の頃って今ほどみんな意識が高くないので、ちょっと歩くとゴミだらけだったり、そういうのも嫌だなと思っていたんです。それでSFCの「環境」「情報」というのが気になっていて、さらに家からもすごく近かったので選んだ感じです。
川井: そうですか。じゃあどちらかというと「環境」というキーワードと「家から近い」というのが大学選びの決め手だったんですね。コンピュータ工学に惹かれてという感じではなかったということですかね。
橋本: そうですね。実際にプログラミングとかしていないと、なんだかわからないじゃないですか。
川井: そうですよね。SFCにストレートで入られて、何期生でいらっしゃいますか?
橋本: 僕は4期生です。
川井: 代表の佐野さんとは学校で知り合われたんですか?
橋本: そうですね。1年生の時からの知り合いです。
川井: なるほど。早くに出会われてたんですね。
大学時代
川井: 学校に入られて、その時はもうインターネットの時代ですよね?
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏そうですね。当時「未来からの留学生」というキーワードで「10年後に手に入る環境をその場で実現しよう」っていうコンセプトがあったんですよ。インターネットとかも当時はほとんど誰も知らない中で、メールがあったりニュースグループみたいなものがあったり、今はskypeとかみんなやりますけど、まあ似たようなphoneっていうシステムがありまして、みんなそれで夜通し盛り上がったりとかしてました。
川井: 入ってすぐにそういう感じだったんですか?
橋本: そうですね。SFCは、入るととりあえず全員に一通りプログラムをかじらせることになってるんですよ。そこで初めて本格的なプログラミングに出会いまして、かなり取り憑かれていったという感じです。
川井: なるほど。確か全員にパソコンを持たせるんですよね。
橋本: 情報系の授業では必ず一人1台のパソコンを使える状況で、ほとんどの人が自分用のノートPCを買うということになっていました。
川井: そうですよね。当時からその状況というのは、すごく進んでいらっしゃるなと感じますね。
橋本: そうですね。当時まだWindowsが普及していなかった頃なので、パソコンの画面に文字しかないんですね。実は僕はそれがすごく嫌で、学校が買えと言ったものは買わないで半年くらい待ってからMacintoshを買ったんです。
川井: そうなんですね。
橋本: でもデスクトップだったんで持ち歩けませんでした(笑)
川井: そりゃそうですよね(笑)
橋本: 当時のMacintoshではプログラミングとかもあまりできないので、もうほとんどの時間は学校にいて、学校のコンピュータでずっと何かをやっているみたいな感じでした。
川井: やっぱり興味があったということもあると思いますが、覚えるのは早かったですか?
橋本: 早かったと思います。
川井: コンピュータ工学を基礎から勉強する授業もあるんですか?
橋本: 意外とないですね。プログラムの授業だったら実際にプログラムを書かせるというのが多かったと思います。
川井: プログラミングは授業だけで覚えたんですか?それとも自分で遊びながら覚えたという感じでしょうか?
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏プログラムの授業の中に「ミニプロジェクト」という課題があって、何かしらのプロジェクトをチームで作って一学期の最後に提出しないといけないというのがあったんですよ。
川井: はい。
橋本: 使いだして数か月で、C言語のプログラムを作って提出しろみたいな感じなんですけど、そこで相当頑張って「星座早見盤」みたいなやつを作ったんですよ。星の座標を全部打ちこんでおいて、まだ受験が終わったばかりで回転行列というのを覚えていたので、回転行列で全部の星を回転させようとか考えてたんです(笑)
川井: すごいですね。
橋本: 二人くらい巻き込んで一緒にやりました。やっぱりものを作ると覚えるのがすごい早いんですよ。
川井: そうですよね。
橋本: それでけっこう覚えましたね。
川井: なるほど。じゃあ最初はC言語から入られたんですね。
橋本: C言語ですね。でもまだその時はポインタの壁みたいなものは超えられず、「ポインタってなんだろう?」みたいな状態で作っていました(笑)
川井: ポインタの概念は難しいという方は多いですよね。
橋本: そうですね。当時はわけがわかりませんでした(笑)
川井: 以前うちでインタビューさせていただいたhigeponさんも、ポインタのことがわからなくてその壁が厚かったとおっしゃってましたね。プログラミングをしていて、他に何か壁とかってありましたか?
橋本: やっぱりそのポインタを理解できた頃から、楽しさは次のレベルになってきましたね。次の壁はオブジェクト指向ですかね。
川井: なるほど。
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏今まで手続き型のC言語を書いていたので、やっぱりまたわけのわからない世界に入っていくという感じがしました。3年生から研究会に入れるんですけど、研究会に入ったら、そこにすごいプログラミングができるやつがいたんですよ。彼がけっこうしっかりとしたオブジェクト指向でC++を書いていたので、それを見ながら手伝ったり、部分的に作りこんだりして、同じプロジェクトでやっていくうちに使えるようになっていった感じです。
川井: なるほど。本当に学校でプログラミング漬けという感じだったんですか?
橋本: どうなんですかね。意外にプログラミング漬けというまではなかったですけどね(笑)
川井: そうなんですか。
橋本: 1〜2年生の頃は、僕はサークルにはまってたんですよ。うちの代表の佐野が作った環境系のサークルで、SAEI(SFC Alternative Energy Innovators)っていうサークルです。
川井: 環境系のサークルですか。具体的にはどんな活動をされるんですか?
橋本: 当時から、酸性雨やエネルギーが枯渇するといった環境問題だとか、そのひとつとして温暖化の問題について考えていて、「このままじゃやばいぞ。みんなが楽しく過ごすことができない世の中になってしまうんじゃないか」っていう危機感を持っていたんです。じゃあそれをどうやって解決していこうかみたいなことを考えていましたね。佐野が高校生くらいからソーラーカーに興味があったこともあって、「太陽エネルギーならわざわざ自然が地面の中に隠したものを掘り起こしたりしないでもエネルギーを手に入れることができて、人間は楽しいままでも続けることができるよね」って思ったんです。環境を守るために人間が我慢するのはすごい嫌だったんですよ。
川井: なるほど。
橋本: それで、「じゃあソーラーパネルを流行らせよう!」みたいなことで、学園祭で寸劇を織り交ぜたりプレゼンテーションをしたりしました。あとは夏休みに小学生を集めて一泊のキャンプをして、そのキャンプの中で子供たちと一緒にソーラーパネルを使ったおもちゃを作ったりとかもしましたね。「よし、10年後にこいつらはきっとすごくいい地球を作るという意識の高い大人になるはずだ」みたいなことを考えていたりしました。
川井: すごいですね。志の高いサークルですね。
橋本: でもまあ本人たちは楽しいと思うこととやりたいことがちょうどつながったというだけですね(笑)
川井: 1〜2年生の頃はその活動に夢中になっていたということですね。
橋本: そうですね。「移動手段はローラーブレードもいいんじゃない?」とか話して、ローラーブレードが流行ったりだとかもしました(笑)
川井: 電池技術は遅れているというか、色々なものが発展していく中で、電池だけは2時間しかもたないとかあるじゃないですか。ソーラーパワーでできるようになればすごいですよね。
橋本: キャパシタみたいなものがうまくいけばいいんですけどね。
川井: 今は宇宙からエネルギー受信をして・・・みたいな技術も聞きますね。
橋本: かなり前からある計画ですよね。
川井: なんだか不思議に感じてしまいますけどね(笑)佐野さんとはそのサークルで出会ったんですか?
橋本: サークルに入る前に友人との飲み会で出会って、面白そうだからサークルに入ろうと思いました。
川井: どんな感じの友人なんですか?
橋本: なんかもう思い出せないですけど(笑)最初は授業つながりですかね。今もそうかはわからないんですけど、当時SFCにはキツイ授業がいっぱいあったんですよ。文化人類学とか、文科系っぽい授業なんですけど、それのために週5日使わなければならないみたいなものもありました。だけどグループワークなので、けっこうそれでみんな仲良くなったりするんですよ。そこで友達が増えていくうちに、佐野につながっていったという感じですね。
川井: 大学時代は実家から通っていたんですか?
橋本: クックパッド株式会社|橋本健太氏そうですね。僕は大学に結構長い間残っていたんですよ。学部を出てから、大学院も行って博士課程も単位取得退学までいて、あと研究員でいたのでしばらくはずっといたんですけど(笑)学生のうちの確か2年くらい、佐野とは一緒に住んでいました。
川井: カヤックさんもSFCの3人で起こされた会社ですが、似ている感じですかね?最初は川の字で寝ていたとか言っていましたけど(笑)
橋本: そうなんですね(笑)


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会社案内 クックパッド株式会社
http://cookpad.com/info
代表取締役 佐野 陽光
所在地 〒108-0071 東京都港区白金台5-12-7 MG白金台ビル5F
事業内容

料理サイト「クックパッド」及び携帯版サービス「モバれぴ」の企画・運営、食の検索データサービス「たべみる」の販売、マーケティング支援事業、広告事業、出版事業



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