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第28回 山田進太郎 氏(ウノウ株式会社代表) このエントリーを含むはてなブックマーク

川井:本格的に会社を始められて、最初に作ったサービスは何だったんですか?
山田:映画のサイトを昔から趣味でやっていて、有限会社をやっている時にDVDの御会社と提携して、マージンを課した感じですかね。
川井:なるほど。
山田:Webエンジニア武勇伝 山田進太郎氏今は、DVDの販売とかはもうやめてしまいました。理由としては、アマゾンさんとか、楽天ブックスさんなどがかなり安売りをしているので、それに太刀打ち出来ないからですかね。それらを紹介するサイトとかにしていて、映画のコミニュティサイトにして、いろいろな人がレビューをしたり、ウィキペディアみたいに勝手にページを書き換えたりとか出来るようにして、CGMといわれているユーザ参加型の映画のサービスにした感じですかね。
川井:なるほど。
山田:写真のCGMは、「フォト蔵」をやっています。いろんな人がデジカメとかで撮った写真を共有するのは、なかなか難しいところがあって。動画も扱えるようにして、アップロードしておいて、SNSみたいな機能がついているのでプライベートの機能がかなり強く出来ているんです。たとえば、これはみんなにとか、家族のみとか、大学の友達とかを分類して、公開できるのが特徴のサイトですかね。
川井:映画は昔から興味があるとお話しされてましたが、写真の方はどんな発想から?
山田:写真は、撮ること自体は好きなんですけど、別に、デジタル一眼できれいな写真を撮ることに関しては強い関心はもっていないんです。共有するという意味では、いろんな人に写した写真を共有したいなという発想があったんです。写真というのは、誰でも関心を持っているものだと思いますので。映画もそうですけど。そういう意味では面白いかなと思い、その分野を選んだ感じです。
川井:なるほど。今もこの2つをメインに、他にもいろいろしていこうという方針なんですか?
山田:そうですね。エンジニアがたくさんいる会社なので、他社との共同事業という形で、いろいろやってはいますね。今、実際エンジニアが9割占めていて、よいエンジニアを集めることができていると思っています。
川井:すごいですね。
山田:なぜかというと、「ウノウラボ」ブログというものをやっていて、エンジニアが持ち回りでブログを書いていているものなんですけど、それがすごい人気のブログになって、みんな読んでいる感じなんです。「ウノウラボ」を知らない人は多分、Web系でのエンジニアはいないと思います。
川井:確かにいないですね。
山田:Webエンジニア武勇伝 山田進太郎氏そういうのもあって、すごいリクルーティングとかはやりやすい状態ですね。うちに良いエンジニアいることを知ってくれていますから。企画でこういうのがやりたいとかが沢山くるので、その場合、一応最低限のお金は貰って、アッパーの部分はレベニューシェアでやっています。また、うちが一部出資をして、共同の事業もやっています。いろいろなパターンがありますが、いろいろな外部プロジェクトとかもやっていますね。一部、受託もやっていますし。新規事業みたいなものを自社でやる部門も考えたりしたりとか、今も一個準備していますし、共同事業でも一個準備しているんですよ。
川井:いろいろやってらっしゃいますね。
山田:ただ、去年はかなりいろいろなサービスをしたのですが、あまりにも拡散しすぎました。その反省があって、今年は確実性の高い物を吟味してやって行こうと考えています。今は、共同でやるものと自社でやるものの2つのサービスを考えていて、それ以外の去年いくつかオープンしたサービスは小休止しようと考えています。
川井:そうすると、アイデアを創出するというよりも、アイデアをもらって一緒に作るみたいな方を得意としているのでしょうか?
山田:現状では、かなりそういう形になっていますね。
川井:なるほど。
山田:逆に、今は、自社でちゃんとサービスを作れるようにしたいと思っています。まずは、柱を1本か、2本作るのが今年の目標です。
川井:なるほど。
山田:外部からアイデアを貰ってやっていて、中にはすごくうまくいっていたものもあったのですが、その会社が買収されたりとかもありまして。
川井:ややこしいですね(笑)
山田:それで強制的に終わってしまったりということもあったんですよね。もちろんキャピタルゲインもありましたが、やはり、自社でやっていかないといけないという反省もありました。無理して、外部からのアイディアをアサインしていくやり方をやめにして、共同事業として、一緒に作っていくというそこの部分は完全受託にしてやっていこう、自社に残るようにやっていこうというのが、今の方針です。
川井:カヤックさんのイメージに近いのでは?
山田:カヤックさんは、どっちかっていうと・・・。アイデアが楽しいこと重視というか、割とニッチだったりしますよね。うちは、メタのところをやっているので、写真のサービスはワールドワイドでやっていこうと思ってやってたんですが、なかなか海外でのPRがあまり出来なくて、主に日本人が使っているのが現状ですね。気持ちとしては、世界で通用するサービスを作って、海外に持って行っていこうと思っています。今後やろうと思っているサービスは、サービスオリジナリティが強いものと思っています。カヤックの方はよく知っているんですが、仲間内で楽しくやっているような感じがして、逆にうちはさばさばしていて、社内でもプロフェッショナル主義というか、完全実力主義のような感じでやっている状況ですね。
川井:カヤックさんは、「楽しい」がキーワードで、御社は「世界に通じる」みたいな感じですかね。
山田:そうですね、世界に通じるってことが目標ですね。
川井:たしかに映画とかフォトとかは、世界中どこでも使っているものですもんね。
山田:Webエンジニア武勇伝 山田進太郎氏そうですね。今のところは、ドメスティックなサービスなのですが、気持ちとしてはワールドワイドでやっていこうと思ってます。いつかは世界中で使われるようなサービスを作っていきたいですね。
川井:なるほど。よくわかりました。一点お聞きしたいのですが、御社には優秀なエンジニアがたくさんいらっしゃるじゃないですか?さっきの「ウノウラボ」のブログは、はじめから機能してなかったと思うのですが、最初はどういう旗の元に集まったんですか?
山田:一番最初は、僕と石川と、あと今のCTO尾藤ですね。
川井:最初のメンバーなんですね。
山田:そうですね。彼は、サンフランシスコの学校で、偶然僕のいるクラスに体験入学という形で入ってきて、いろんな話をしていて彼がエンジニアだということがわかったんです。どこで働いているのかと聞いたら、今はHDEという会社になっているホライズンデジタルという会社で働いていて、僕がそこの社長とは以前から知り合いだったので、それですごいびっくりしたんですよ。当時彼は、相当Linux寄りというか、基盤系寄りの人間だったんですけど、WEBサービスも面白いという話をして、意気投合して。日本に帰ってきたら一緒にやりましょうよという話になり、日本に帰ってきて一緒に始めたという感じです。その、3人が基本ですね。
川井:なるほど。
山田:尾藤が、IPAに採択されてプロジェクトをやっていたこともあって、そこのつながりで良いエンジニアとか知り合いだったりとかして。あとは、オープンソースなどの勉強会での顔の広い人間だったので、彼の人脈とかで、雇用できたのが一番初めですね。10人ぐらいになってきた段階で、持ち回りでブログをやろうという話が出て。それが結構きついんですよ(笑)。
川井:きついですよね(笑)
山田:最初は毎日、更新していましたね。最近はそこまで熱心にやってなくて、1週間に一記事でやっているんですけど、一番最初は、もう専門のようにやり続けていていました。あんまりそのような試みがなかったので、ちょうどその時、はてなブックマークとかソーシャル系のメディアが出来てきた時期で、はてなブックマークとかで話題になるたびに読者が増えたという感じです。
川井:かなりついていますよね。
山田:読者が増えてきて、今だと100ブックマークはめずらしくないですね。
川井:なるほど。
山田:いろいろ競いながら、いいエントリーが書けるようになったんです。切磋琢磨して、有名になって。すぐには、効果は出なかったのですが、今はリクルーティング系の媒体に出さなくてもホームページから応募があります。そういう意味では、もっとも成功していると言っても過言ではないと思います。
川井:そうですよね、わかります。
山田:今でも採用しようとすれば採用できるのですが、会社自体の体力がないので、今年は我慢して、ビジネスと作ろうとしている状況です。
川井:すばらしいですね。そんな中で、エンジニア部隊のモチベーションを維持して、常に仕事をしてもらうし、キャリアアップしてもらう心がけとかありますか?
山田:勉強会とか、コミュニティーとかですね。
川井:なるほど。
山田:自分である一定の時間、自分の好きな時間を作るんです。例えば、火曜日のある時間からある時間までは、自分の好きな時間を作っています。 社内では「右脳トレ」とか言われています。社内でも勉強会とかもやっていて、あと、雑誌とかの執筆依頼もかなり来てますね。
川井:そうなんですね。
山田:Webエンジニア武勇伝 山田進太郎氏執筆依頼も積極的に、「個人として、ちゃんとウノウのエンジニアとして、書いてください。」とやっているので、そういう意味で、自立的に勉強していくのには、結構いい環境になっているのではないかと思っています。普段一緒に仕事をやっていく段階で、人のコードを見る機会があるので、勉強会でもコードレビューがありまして。それに対して、意見の出し合いができるので、プロフェッショナル同士が意見の交換をやっている感じがありますね。あんまり出来ないとかいう人は一人もうちにはいないので、そのようなことが出来る環境ですね。
川井:場さえあれば、みんなが自発的に意見の交換ができる場を作っているということですね。
山田:そうですね。
川井: それは、いいことですね。
山田:この状態が続けられるかはわかりませんが、少なくともしばらくは問題ないかなと思います。
川井:なるほど。ちょっと話は変わりますが、会社でいろいろな言語で開発していると拝見したのですが、メインはPHPなのですか?
山田:そうなんですが、実はそんなにこだわりはなくて、新規プロジェクトでは最近Rubyを使うケースがかなり多いですし、その辺も、特徴的ですね。一般的な会社だと、開発言語をPHPで統一して、フレームワークを統一して、ランニングコストを抑えてという感じですよね。うちも昔はそのようなことをやっていました。今は、好きにやらしてくれとの意見が多いのでそのようにしています。
川井: (笑)
山田:PHPのプログラマーとして入った方も、今は、Rubyが話題だからやってみたいとか、Pythonのプロジェクトもあります。
川井:そうなんですね。
山田:その辺の縛りは、全くないです。
川井:自分で新しい技術を取り入れて、チャレンジしていこうという感じですかね?
山田:そうですね。その代わり、やるからには責任を持ってやっていってくださいという感じですね。
川井:なるほど。
山田:新しいテクノロジーに触れられるというのは、会社としてのひとつの魅力だと思います。
川井:そうですね。
山田:そこに関してはある意味、福利厚生的みたいなところがあるのではないかと思います(笑)。
川井:それ面白いですね(笑)。
山田:新しいテクノロジーを扱えますよ、みたいな。
川井:ニュアンスは良くわかります(笑)。
山田:うちに来れば、新しい言語とか、新しいライブラリーとか何でも使えますよ、みたいな感じがあるかも知れませんね。
川井:なるほど。

川井: 最後に若いエンジニアに向けて、一言お願いできますか?
山田:Webエンジニア武勇伝 山田進太郎氏うちにいるエンジニアは30歳位が多いんですよね。どの様なパターンが多いのかと言うと、それぞれの会社で一生懸命やってきていて、会社内ではとにかく一番出来る存在になった人が多いんです。
川井:なるほど。
山田:勉強会とかいろいろ行ってみて、それでもプログラムを組むことが好きで、勉強会とかでうちのメンバーとか知り合ったりとか、ホームページで応募してきたりとかして、一番油が乗っている人が結構多いと思うんですよね。
川井:なるほど。
山田:そういう人は向上心が強く、勉強会とか参加しているぐらいなので、非常にレベル的にも高いんですよね。
川井:はい。
山田:大学を卒業して、30歳位まで普通に過ごして、勉強だと思って本を読んだりして来た人とはやっぱり違いますね。厳しいかも知れませんけど、週末、勉強会とかに参加出来ない人は、正直言って、エンジニアを辞めた方がいいとも思ってます。
川井:なるほど。
山田:Webエンジニア武勇伝 山田進太郎氏自分が関心の持てるものや、土日とかつぶしてでもいいぐらいのものを見つけて本気でやっていったほうがいいのではないかと思います。そうじゃないと、普通にピュアに「プログラミング大好きです」という人に絶対勝てるわけないですよね。
川井:そうですね。
山田:逆に、言語問わず、プログラミング大好きだからという人は、まずは、自分の環境の中でNo.1を目指してもらって、それからもっと外の環境を求める方が良いのではないかと思います。
川井:なるほど。
山田:学べることは沢山あるので、環境が変わってもあまり変わらないことが沢山ありますし、すぐに転職とか考えなくても良いかと思いますね。
川井:そうですね。
山田:まずは、圧倒的なレベルに自分を高めてから外の世界に出たほうが良いかと思います。
川井:そうですよね。
山田:そういう意味で、2種類あると思いますね。自分でやりたいことが決まっているならば、それをやり続ければよいと思います。逆に見つかってなければ、周辺の分野とかで考えたほうが良いと思います。僕ははっきり言って、エンジニアリングより、Webサービスを作る方が好きなので。
川井:お聞きしていると山田さんはプロディース寄りなんですかね?
山田:どちらかと言うとプロディースですかね。昔は、プログラミングからディレクションまで、すごく細かいところまでこだわっていましたが、最近はプロディース寄りです。昔は、人に頼む場合は、コストが高いので、自分でやってしまったりしていましたが。
川井:なるほど。
山田:今は影響力が大きい部分とか、発想する部分とかをしています。特に今は、海外とかのWebサービスを細かく見ている人は、そこまで多くいないので、そういうものを毎週社内に紹介したりしています。そういうのを僕はすごく面白いと思ってやっているんですよ。必ずしもエンジニアとして極めなければいけない理由はないと思います。だめだと思ったら、さっさと諦めるのも一つの選択ではないかと思いますね。
川井:なるほど、わかります。Klabの仙石浩明さんも同じことも言ってましたね。向く、向かないとかありますよね。やっぱり、家に帰って、自然にパソコンに向かってやる人ではないとその人は言っていましたね。
山田:そうですね。結局、そこまでのコンピュータとか言語とかは、数学的センスがものすごい必要なので、そこに追いつけないといけないと思います。逆に企画の部分とかでは、負けない部分があればいいんじゃないですかね。
川井:そうですね。わかりました。大変、分かりやすいご意見だと思います。30歳までに決めろという感じですかね。
山田:そうですね。本当に30歳位が多くて、僕がちょうど30歳だし、平均年齢も30歳位ですかね。若くしてすごいエンジニアもいますしね。
川井:確かにいますよね。
山田:歳とったらいろいろな能力をつけていかないと難しいと思いますよ。
川井:そうですよね。
山田:限界に到達してしまう人もいるのかなと思います。
川井:そうですよね。エンジニアで、一千万稼ごうなんて人は、本当に一握りしかいませんよね。
山田:エンジニアの人も、サービスという部分に目を向けたほうが良いと思いますね。 例えば、いいWebサービスを作る人は、エンジニア出身ではない人が沢山いますしね。
川井:そうですね。
山田:Webエンジニア武勇伝 山田進太郎氏エンジニアではない人が優れた企画とかをしていることに、エンジニアは危機感を持ってないといけないと思います。最近流行っているWebサービスを見て、技術力的にはたいしたことは無いからといって、そのサービスのエレガントな部分を評価せず、技術的な部分や進歩性にだけにとらわれていると、サービスの良さがなかなか分かってこない部分があるのかなと思っていてます。優れたWebサービスを見ると、すごく練られてる部分があったりしますし。
川井:なるほど。
山田:そういう意味で、僕も納得できてない部分があるんですよね。映画とか写真とかはそれなりのヒットはしていて、それなりには収益はありますが、今の状態だと結構かつかつになってしまうと思うんです。それでは面白くないので、もっと高みの部分を目指していこうと思っています。
川井:なるほど。
山田:そのために、日々もがいています(笑)。
川井:そうなんですね。本日は長時間にわたり、貴重なお話を本当にありがとうございました。
山田:こちらこそありがとうございました。      



会社社名 ウノウ株式会社(英文表記:Unoh Inc.)
http://www.unoh.net/
代表取締役 山田進太郎 石川篤
資本金 1億6600万円
所在地

〒150-0002
東京都渋谷区渋谷3-13-11 渋谷TKビル8階



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